4.井伏から静馬にあてた書簡 (『新潮』の第一回のゲラ刷り) − 資料C             昭和39年12月5日
V.「黒い雨」の成立過程
 
 【重松文宏氏講演内容】

興味深い講演に聴き入る人々


手紙に井伏はこう書いている。
「新潮」の第一回をゲラ刷で見ましたが急いで書いたのでどうも宜しくありませんでした。締切間際に書いたものですから。もしお読みになるのでしたらこちらからお送りします。いずれにしましてもその都度御叱正を願へれば幸甚です。
『新潮』に連載が始まった数か月後の4月26日、井伏は、

  『新潮』の僕のものは、何の反響もありません。いささか心細い次第です。しかし、それをがまんしなくてはならないのです。それが修行ですから。

と書簡を意下松に送っている。
重松の当用日記(昭和40年)の、受信・発信欄に、
八月二十四日 書簡
九月一日    速達
九月二日    速達
と書いてある。重松は九月一日と二日に、20枚の報告を書いて、速達で、長野県にいる井伏に送っている。速達は現在、福山文学館に所蔵されている。この手紙は、静馬に著作権があり、福山文学館に管理権がある。


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