自宅の書斎で、著書に贈呈の署名をする呉新雷先生。
 2003年3月22日撮于南京市鼓楼区書斎。

 机の上手前に見えるのが、『文学勝迹博覧』。愛用の万年筆で署名をしているの書が『紅楼夢導読』。右腕上に見える緑の背表紙の書は、日本から郵送された『拍案驚奇訳注1』古田敬一主編汲古書院2003年3月刊。袋は私が持参した小礼品(日本茶)。

 西瓜の種とお茶をご馳走になった後、自宅から歩いて10分の所にある、「魚湯館」という餐廳で、美味な上に珍しい夕食をご馳走になった。

その一つが「蜂窩玉米」。玉蜀黍を材料に蜂巣のようにすき間があいて、食べれば香ばしく甘い。直径50cmもある大きさ。

酒は、先生の故郷江陰の銘酒「霞客黒酒」。酒度15%。黒い色の薫り高い酒。

 「霞客黒酒」は明代旅游家徐霞客からきている、と説明してくれた。地理学家であり地質学家でもある徐霞客の『徐霞客游記』は先生の愛読書。

江陰出身の文人に、明の徐霞客の他に、民国の五四運動家、劉半農、二胡の作曲家、劉天華兄弟があり、先生は現在の江陰出身文人として有名。
 この書は「耳聞不如目見」「実地考察」を実行して、「察訪到的」した成果がぎっしりつまっている。(「 」内の語は自分の江陰方言は聞き取り難いだろうと、紙に書いてくれた言葉)まさしく、先生によってこそ書かれるべき書物だったといえる。

「揚州的”二十四橋明月夜”」、「金陵的山水与文学」、「白帝城与長江三峡」などを読むと、自分の足でその地を歩いて、歴史上の文人の足跡を辿っている思いがする。目次を見て、興味深いテーマをご覧下さい。
 
古典文学知識叢書
文学勝迹博覧  呉新雷等撰 江蘇古籍出版社 2000年9月出版
江陰出身の著者呉新雷先生は、同じく江陰出身の明・徐霞客の『徐霞客游記』を愛読する。二十二歳の時以来、三十年にわたって中国16の省区に足跡を残した徐霞客と同じく、「自分もこの足で、歩いて歩いて歩き通して来た」と述懐する先生は、足で次々と新しい発見をして、世に問うて来た.。この書にはその片鱗が随所にちりばめられている。